歯学センターの窓から

「アメリカでの歯科治療」歯学センターの窓から no.96

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もう20年前になります。
アメリカのレーザー歯学会で知り合ったコールトン先生。
お誘いに乗ってニューヨークにある先生の歯科医院で一週間ほど、治療のお手伝いをさせて頂きました。
そこで初日にいらした品の良い90歳の婦人が「先生、歯が一本揺れてる気がするのです!」と強く訴えました。
婦人の口の中は全ての歯が残っており、しかも磨き抜かれてピカピカ。
婦人が訴える歯も気のせいか、わずかに揺れている程度です。
しかし、コールトン先生は婦人の歯を丁寧に調べ、揺れている歯の周りを直ぐに手術。
噛み合わせを調整して、歯ブラシ方法を教えます。
先生の手も婦人の口の中も奇麗なまま。
手術は完璧、まさに芸術です。
婦人もにこにこと、安心してお帰りになりました。

これが日本だとどうでしょう。
歯の間に食べものが詰まったり、多少痛くても放っておき、どうしようもなくなったら歯科に駆け込む方が多いのでは?
私もコールトン先生の病院のような、患者さんが安心出来る歯科医院を作っていきたいと思った、心に残る歯科治療でした。  

田北行宏